2026年現在、日本最大規模の暴力団として知られる山口組は、2015年の分裂から11年を経ても、警察による厳しい規制の対象となっている。六代目体制を維持する一方、構成員の減少や分裂組織との関係、特定抗争指定暴力団としての法的制約など、その実態は大きく変化している。
警察庁の統計を基にした2025年末の勢力は、六代目山口組の構成員約3,100人、準構成員等約3,200人、合計約6,300人。全国の暴力団勢力が約1万7,600人にまで減少するなか、山口組は依然として大きな比重を占める。2026年9月には池田組や絆會との特定抗争指定が解除された一方、神戸山口組との指定は継続されている。分裂の歴史から最新の警察対応まで、公開資料と報道に基づいて整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 現在の勢力:2025年末の警察庁統計に基づく六代目山口組の構成員・準構成員等は約6,300人。
- 分裂の経緯:2015年8月、六代目山口組から直系組長13人が離脱し、神戸山口組を結成。組織運営や上納金制度への反発が背景として報じられた。
- 2026年の最新動向:池田組・絆會との特定抗争指定は解除されたが、神戸山口組との指定は2027年1月6日まで延長されている。
【2026年最新】山口組とは何か?本部・組長・現在の勢力を整理
山口組は、兵庫県神戸市を本拠とする指定暴力団で、正式には六代目山口組と呼ばれる。現在の組長は司忍(本名・篠田建市)で、2005年に六代目を襲名して以降、六代目体制が続いている。
山口組の主たる事務所は、兵庫県神戸市灘区篠原本町にある。神戸港の港湾労働者を基盤として成立した組織は、長い歴史のなかで各地に系列組織を広げ、全国的な階層型ネットワークを形成してきた。2025年末時点では、山形・広島・沖縄の各県を除く44都道府県に系列組織を置いているとされる。
ただし、全国に系列組織が存在することと、各地域で同じ規模の活動を維持していることは別問題だ。構成員数の減少、警察の取締り、事務所の使用制限、暴力団排除条例による取引制限など、組織を取り巻く環境は厳しさを増している。
山口組を理解するうえで押さえたいのは、組織の知名度や歴史の長さと、現在の実際の活動能力を混同しないことだ。過去に大きな勢力を誇った時期があっても、その規模がそのまま2026年の実態を表すわけではない。
また、「指定暴力団」と「特定抗争指定暴力団」は同じ意味ではない。指定暴力団は暴力団対策法に基づく指定を受けた団体を指し、特定抗争指定は、対立抗争によって市民の生命や身体に重大な危害が及ぶおそれがある場合に、さらに活動を制限する制度である。山口組は両方の枠組みに関係する組織として、警察の継続的な監視・取締りの対象になっている。
【構成員数を比較】2025年末の山口組は約6,300人、住吉会・稲川会との差は?
2025年末の警察庁統計を基にした各団体の勢力を見ると、山口組の構成員と準構成員等の合計は約6,300人だった。内訳は構成員約3,100人、準構成員等約3,200人で、前年末からそれぞれ約200人、約400人減少している。
ここで注意したいのが、「構成員」と「準構成員等」の違いだ。警察統計では、暴力団に所属する構成員と、組織と関係を持ち、その維持・運営に協力したり、暴力団の威力を背景に不法行為を行うおそれがあったりする周辺者を区別している。約6,300人という数字は、狭い意味での組員だけを数えたものではない。
日本全体の暴力団勢力は2025年末に約1万7,600人となり、過去最少を更新したと報じられている。警察庁の公表統計を基にした主要団体の数字を比較すると、山口組が依然として最大規模であることが分かる。
| 団体名 | 構成員 | 準構成員等 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 六代目山口組 | 約3,100人 | 約3,200人 | 約6,300人 |
| 住吉会 | 約2,100人 | 約1,100人 | 約3,200人 |
| 稲川会 | 約1,600人 | 約1,000人 | 約2,600人 |
| 神戸山口組 | 約110人 | 約170人 | 約280人 |
| 絆會 | 約50人 | 約70人 | 約120人 |
| 池田組 | 約30人 | 約40人 | 約70人 |
出典:警察庁の統計を基にした2025年末の主要団体勢力に関する公表データ。数値は概数で、前年比の減少幅を含め、統計上の分類に基づく。
比較すると、山口組の勢力は住吉会の約2倍、稲川会の約2.4倍に相当する。分裂によって生まれた神戸山口組は約280人まで縮小しており、2015年の結成直後とは大きく異なる規模になっている。
一方、人数の比較だけで各団体の資金力や指揮命令の実効性、犯罪への関与の程度まで判断することはできない。構成員数は警察が把握した勢力を示す指標であり、組織の全容や個々の活動実態を直接測る数字ではないからだ。
「実際の人数は統計の何倍もいる」といった説が語られることもあるが、具体的な倍率を裏付ける公的データは示されていない。公表数値を読む際は、確認できる統計と根拠のない推計を分けて考える必要がある。
【歴代組長と歴史】山口組はどのように全国規模へ拡大したのか
山口組の起源は1915年、神戸で山口春吉が港湾労働者らを基盤として組織を立ち上げたことにさかのぼる。当初は港湾関係の労務供給などを背景とする集団だったが、港湾利権や地域社会との関係を通じて勢力を拡大していった。
1925年には春吉の長男である山口登が二代目を襲名した。その後、神戸中央卸売市場の開設を巡る利権争いなどで対立が生じ、1932年には大嶋組から独立したとされる。この時期の歴史は、山口組が地域の労働・流通分野を足場として組織を形成した過程を示している。
戦後の拡大を語るうえで欠かせないのが、三代目組長の田岡一雄だ。1946年に三代目を継承した田岡は、組織の拡大と全国的なネットワークの形成を進めた。港湾関係に加え、興行などにも関与し、山口組が全国規模の組織へと変化する時期を率いた。
歴代組長の交代は、単なるトップの交代ではない。配下組織との関係、幹部間の力関係、資金や人事を巡る利害調整など、組織全体の構造に影響する節目でもあった。
歴代組長は次の6人である。 初代・山口春吉、二代目・山口登、三代目・田岡一雄、四代目・竹中正久、五代目・渡辺芳則、六代目・司忍。六代目体制は2005年に始まり、2026年現在も続いている。
三代目から四代目への交代は1981年の田岡の死去後、1984年の竹中正久の襲名まで時間を要した。四代目の竹中は1985年に殺害され、その後、1989年に渡辺芳則が五代目を継承した。こうした歴史には、組織内部の対立や後継者選びの難しさが表れている。
五代目体制を経て2005年に司忍が六代目を襲名すると、現在につながる六代目体制が成立した。だが、組織の規模が大きいことは、内部の利害が一致していることを意味しない。2015年の分裂は、長く維持されてきた指揮命令系統が重大な亀裂を抱えていたことを示す転換点となった。
【六代目山口組の組織図】直参・舎弟・若衆の役職と仕組み
山口組の組織構造を理解するには、組長を頂点とする階層型の仕組みを押さえる必要がある。一般企業の組織図に似た上下関係があるものの、法的な法人組織と同一視することはできない。配下団体との関係は、伝統的な親分・子分の関係や、組織間の結び付きによって成り立っている。
六代目山口組の本部に直接つながる二次団体の組長は「直系組長」または「直参」と呼ばれる。直参は、山口組本家の組長に直接つながる立場にあるという意味であり、それぞれが配下の組織を率いている。したがって、本部に直接つながる幹部の人数と、山口組全体の構成員数は一致しない。
役職名として知られる「舎弟」は組長の弟分に当たる立場、「若衆」または「若中」は子分に当たる立場を指す。公開されている組織の説明では、舎弟や若衆という区分が紹介されてきたが、具体的な人数や役職の配置は時期によって変わり得る。特定時点の名簿を、恒久的な組織図として扱うのは適切ではない。
組織の概念図を簡略化すると、組長の下に執行部や直参が位置し、その下に各直参が率いる系列組織がつながる構造となる。実際には役職や権限が複雑に絡み合っており、肩書だけから個々の人物の実権を正確に判断することは難しい。
この構造の特徴は、中央の本部と地域の系列組織が階層的につながっている点だ。中央の統制が強まれば組織としての一体性を維持しやすくなる反面、直参の処遇や資金負担、幹部人事を巡る不満が蓄積すれば、離脱や分裂の引き金にもなり得る。
2015年の分裂を単なる組長同士の対立だけで説明できないのは、このためだ。組織の中枢で決定された運営方針が、地域の系列組織にどのような負担や不利益をもたらすと受け止められたか。その構造的な問題が、後の分裂を考えるうえで重要になる。
【神戸山口組との分裂抗争】2015年に何が起き、なぜ対立が長期化したのか
2015年8月末、六代目山口組から直系組長13人が離脱し、神戸山口組を結成した。警察庁の公表資料でも、同月の分裂と、その後の両団体による対立抗争が確認されている。神戸山口組では、山健組を率いていた井上邦雄が組長に就いた。
分裂の背景として報道各社が指摘してきたのは、六代目体制の組織運営に対する不満、司忍の出身母体である弘道会を重視する運営への反発、そして高額な上納金制度を巡る不満などだ。ただし、分裂は単一の理由で説明できるものではなく、幹部人事や組織の統制、資金負担など複数の問題が重なったとみられている。
神戸山口組の結成後、双方の傘下組織に関係する傷害事件や事務所への襲撃などが各地で発生した。警察庁は2016年3月、両団体が対立抗争の状態にあると判断。兵庫県公安委員会は同年4月、神戸山口組を指定暴力団に指定した。
警察庁の過去の公表資料には、分裂した2015年8月27日から2016年3月6日までの間に、両団体の傘下組織関係者が絡む事件が49件発生したとの記録がある。その内訳には、銃器を使用した事件5件、火炎瓶などを使った事件3件、車両を事務所などに突入させる事件9件が含まれていた。短期間に暴力事件が相次いだことは、分裂が単なる組織名称の変更ではなかったことを示している。
さらに2017年には、神戸山口組の一部勢力が離脱して任侠山口組の結成を表明した。この団体は後に名称を絆會へ変更した。分裂によって生じた対立は、六代目山口組と神戸山口組の二者間だけにとどまらず、離脱した組織や新たに独立した組織を巻き込む構図へと変化した。
抗争が長期化した理由を考えるうえでは、組織の面子や過去の対立だけでなく、系列組織の離合集散、幹部の処遇、組織の統制を巡る利害も見る必要がある。ある組織が独立しても、過去の人間関係や対立が直ちに消えるわけではない。警察による規制も、個々の団体の動きだけでなく、関係する組織間の緊張を踏まえて判断されてきた。
一方、抗争による社会的な負担は、組織関係者だけにとどまらない。銃撃事件などが発生すれば、飲食店の利用客や周辺住民が巻き込まれる危険が生じる。事務所の使用制限や警戒区域の設定は、こうした市民生活への危険を抑えるための措置として位置づけられている。
【2026年最新動向】特定抗争指定はどう変わった?解除と延長の意味
2026年の山口組を巡る大きな動きは、分裂抗争に関係する特定抗争指定の一部解除と、神戸山口組との指定継続である。2025年4月、山口組の幹部らは兵庫県警に抗争終結の意思を示す宣誓書を提出したと報じられた。しかし、山口組側が終結の意思を表明したことだけで、警察が抗争の終結を認定したわけではない。
2026年9月には、山口組と池田組との特定抗争指定が解除された。さらに同月21日には、山口組と絆會との指定も解除された。いずれも一定期間、抗争とみられる事件が発生していないことや、関係者への聞き取りなどを踏まえた判断として報じられている。
一方、神戸山口組との関係では異なる判断が続いている。神戸新聞の2026年9月17日付報道によると、兵庫県公安委員会は両団体に対する指定期限を3カ月延長し、2027年1月6日までとすることを決めた。指定は2020年1月7日に始まり、今回の延長は27回目とされた。10月5日には官報で延長が公示されている。
兵庫県警は、山口組が抗争終結の意思を示した後に抗争事件が発生していないことなどを踏まえつつも、両組織の対立が終結したとは認められないとの判断を示している。池田組や絆會との指定が解除されたことと、神戸山口組との指定が継続していることは、別々の対立関係について異なる評価が下された結果だ。
特定抗争指定を受けた団体には、警戒区域内での事務所の使用や、おおむね5人以上で集まることなどに制限が課される。山口組と神戸山口組については、兵庫県を含む9府県の公安委員会が指定を行い、計17市町が警戒区域となっていると報じられた。兵庫県内では神戸市、姫路市、尼崎市、高砂市、稲美町が対象とされている。
ここで重要なのは、特定抗争指定の解除が、暴力団そのものの指定解除や、過去の犯罪行為への責任の消滅を意味するわけではない点だ。解除されるのは特定の対立関係に対する追加的な活動制限であり、指定暴力団としての法的な位置づけとは区別される。
また、抗争事件が一定期間起きていないことは、対立が完全に解消されたことと同義ではない。2026年10月21日時点では、池田組・絆會との特定抗争指定は解除された一方、神戸山口組との指定は継続中である。この違いが、現在の山口組を理解するうえで最も重要な最新情報の一つだ。
【プロの結論】山口組の勢力縮小が示すものと、情報を見極める視点
2025年末の警察庁統計で山口組の勢力は約6,300人となり、分裂直後と比較して大幅に縮小した。全国の暴力団勢力も約1万7,600人まで減少している。こうした数字は、暴力団対策法による規制、警察の取締り、暴力団排除活動、金融機関や企業による取引制限など、社会全体からの排除圧力が長期にわたって続いている状況を映し出している。
ただし、人数の減少だけをもって組織の影響力が同じ割合で弱まったと判断するのは早計だ。構成員数は警察が把握した人員の指標であり、組織の資金力、系列関係、個々の犯罪の発生状況などは別の観点から確認する必要がある。警察庁や警察本部の公表資料、裁判記録、信頼できる報道を組み合わせて見ることが、実態を理解する近道になる。
もう一つの重要な視点は、分裂抗争を単なる勢力争いとして消費しないことだ。2015年以降の対立では、銃器を使った事件などが発生し、地域社会に危険をもたらした。特定抗争指定の延長や解除も、組織の内部事情だけではなく、市民の安全を確保するという公共的な目的に結び付いている。
2026年の山口組は、構成員の減少と一部の特定抗争指定解除という変化を経験しながらも、神戸山口組との対立関係については警察の厳しい判断が続く状況にある。歴史的な規模や組織図の知識だけで現在を判断せず、最新の統計と法的措置を分けて追うことが、山口組の現在地を正確に理解するための判断基準となる。
【山口組】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、山口組の構成員は何人ですか? A1:2025年末の警察庁統計を基にした公表データでは、六代目山口組の構成員は約3,100人、準構成員等は約3,200人で、合計約6,300人です。構成員だけの人数と、周辺者を含めた勢力の合計は区別する必要があります。
Q2:神戸山口組との分裂はなぜ起きたのですか? A2:2015年8月、六代目山口組の直系組長13人が離脱し、神戸山口組を結成しました。背景として、六代目体制の組織運営や弘道会を重視する方針への反発、高額な上納金制度への不満などが報じられています。複数の要因が重なった分裂であり、単一の理由だけでは説明できません。
Q3:山口組は現在も特定抗争指定暴力団なのですか? A3:はい。2026年10月21日時点では、神戸山口組との対立に関する特定抗争指定が継続しています。指定期限は2027年1月6日まで延長されています。一方、池田組および絆會との特定抗争指定は2026年9月に解除されており、対立する団体ごとに判断が異なります。
まとめ:山口組の今後を判断するために押さえたい3つのポイント
山口組は1915年に神戸で成立し、戦後の拡大を経て全国規模の暴力団へと発展した。現在は六代目・司忍の体制が続き、2025年末の構成員と準構成員等は約6,300人とされる。2015年の神戸山口組結成以降、組織の分裂と抗争は長期化し、警察による規制も継続してきた。
2026年の最新状況を把握するうえでは、第一に警察庁統計の対象と人数の定義、第二に分裂の歴史と組織構造、第三に特定抗争指定の解除・延長という法的な動きを分けて確認することが重要だ。池田組・絆會との指定解除は対立関係ごとの判断であり、神戸山口組との指定継続とは矛盾しない。
山口組の今後を見通すには、構成員数の推移だけでなく、警察の公表資料、公安委員会の指定判断、抗争に関係する事件の発生状況を継続的に追う必要がある。過去の巨大組織というイメージに引きずられず、最新の公的データと具体的な法的措置を基準に捉えることが、2026年の実態を理解するうえで欠かせない。 (出典: 山口組(Yahoo!ニュース))